ギャンブル依存症の克服に向けて。パチンコ・スロットをやめられない原因とは

2019年4月7日

私はギャンブル依存症です

そう自覚して、周囲に公言できている人はいるでしょうか。

日本には、とても身近にギャンブルの存在があります。

パチンコ・スロット、競馬、競艇、宝くじ・・・

2018年には、カジノの合法化に関する法案(IR実施法)が成立し、今後ギャンブル依存症の対策が課題として挙げられています。

しかし、そもそもなぜ私たちはギャンブルに依存してしまうのでしょうか

ギャンブル依存に悩まされている方は、ある意味で世に蔓延する依存症ビジネスの被害者といえます。

本記事では、「ギャンブル依存症」の原因と問題点、そして私なりに考える依存の克服に向けたステップについて記載しています。

依存の原因

ギャンブルに依存する原因については、様々な議論があります。(環境要因、脳の報酬系異常・・・)

しかし、根本的な原因は、「娯楽を提供する側が、私たちに依存するよう仕向けているから」に他なりません。

これは一般論ですが、世のビジネスは事業安定化のため、企業にとって「優良」な太い顧客を獲得したい思惑があり、そのためには「良いサービスを生み出す」ことで顧客の心を掴む、といった企業の努力が不可欠です。

これが、ことギャンブルにおいては、太い顧客を獲得するために「射幸性を煽る」努力に置き換えられます。

例えば、ギャンブルとしてのスロットは、国による「射幸性を問題視した規制」と、メーカーによる「規制の穴を突いた高射幸性マシンを製造する」ことのイタチごっことなっています。

射幸性の高いギャンブルは、偶然による大勝ちが起こりやすい一方、大きく負けるリスクが高いです。

人間の心理は、この「偶然による大勝ち」をいつまでも記憶し、たとえ負けが増え続けたとしても、その味を忘れられず、ギャンブルを繰り返してしまうのです。

このような、依存を利用したビジネスの形態を「依存症ビジネス」と呼び、分析した書籍もあります。

このため、ある意味でギャンブル依存者は「依存症ビジネス」の被害者であり、依存してしまうのは仕方のないことです。

しかし、決して「娯楽を提供する側」が加害者だと言いたいわけではありません。あくまで利益を最大化するために、企業などは当然の経営方針を取っているにすぎません。

依存の問題点

ギャンブルを娯楽の範囲で留められるのであれば、何も問題はありません。

そもそも、私たちには生きていく中で何かしらの「生きがい」が必要であり、みんな趣味などの「生きがい」に依存していると言えます。

このため、依存は絶対悪ではありませんが、問題となるケースは、例えば以下のような場合です。

ギャンブル依存が問題となるケース
  • 「依存している自分」に嫌悪感を抱く瞬間がある
  • 「余った時間とお金」ではなく、身を削ってギャンブルをしている

つまり、娯楽中心の生活となっていて、何かを犠牲にしている場合、それは「ギャンブル依存」が問題になっている、と言えると思います。

依存の克服に向けて

※以降は、「ギャンブル依存が自分の人生において問題となっている。何とかしたい」方を対象に記載しています。

まず、依存の克服を目指す前に、私たちは何と戦うべきかを認識する必要があります。

ギャンブルを止めるためには、当たり前ですが「ギャンブルに対する誘惑を断ち切る」必要があります。

つまり、戦うべき相手は自分自身、ということですね。

深刻なギャンブル依存者は、自分の中に2つの人格があると感じているはずです。

ギャンブル依存者の2重人格
  • 正常な人格:ギャンブルに嫌悪感を抱いているときの自分
  • 異常な人格:ギャンブルに頭が支配されて、「やめる」選択ができない自分

例えば、朝会社に行く前は、「今日は絶対にギャンブルをしない」と考えているにも関わらず、夜会社からの帰り道、駅前のパチンコ屋につい入ってしまう、といったケースは多いのではないでしょうか。

まるで、「朝の自分」と「夜の自分」とでは、別人格になっているようです。

ギャンブルをやめるためには、後者の人格をどうにかして押さえ込む必要があります。

これには非常に強い意志が必要であり、とても長く厳しい戦いになります。

依存を断ち切る薬などがあれば良いのですが、残念ながら現状そんな薬はないようです。。。

 

依存を克服するためのステップ

「依存と共存する」という考えを捨てる

ギャンブルを肯定する言葉として、「適度な範囲ならギャンブルも娯楽になる」といった旨の主張があり、これは実際その通りだと思います。

しかし、ギャンブル依存を克服するためには、こうした「依存と共存する」という考え方は捨てるべきです。

ギャンブルに依存してからの日々を振り返ってみてください。

「今日はこれだけの軍資金で遊ぶ」と決意しても、実際にその軍資金がストレートで無くなったら、あなたはそのまま家に帰ることができたでしょうか。

その損失を取り返そうと、軍資金以上を投入して、さらに負け額を増やしてきたことでしょう。

場合によっては負け額を取り返せることもあるかもしれません。しかし、その「おいしい体験」が、私たちをさらなる依存の深みへと連れていくのです。

ギャンブルに支配された人格」は、「依存と共存する」という甘えにつけ込み、私たちをいつまでも依存から解放しないでしょう。

「我慢」ではなく「ギャンブルとの関係を断つ」と決意する

「ギャンブルをする頻度を週○回に減らす」

「レートを下げて、少しずつギャンブルから遠ざかる」

 

こうした、一時的に我慢する方法は、結果として大きな反動を生むことになります。

「少しずつ」という考えは、ある種の甘えであり、「ギャンブルに依存している人格」に付け入る隙を与えることになります。

ギャンブル依存を克服するなら、そもそもギャンブルができる場には絶対に立ち入らないという意思が必要です。

パチンコ屋や競馬場に行かないことは当然ですが、さらにYoutubeでギャンブル関連の動画を見たり、ネットで情報を眺めたりすることさえも、やめるべきです。

ギャンブルに関連することは考えない、一切の関係を断つ、という強い意志こそ、ギャンブルに依存した自分との決別につながるはずです。

「やめる」決意をしたら、次は物理的にギャンブルする手段を断つ

「金輪際ギャンブルから足を洗う」と決意をした上で、徹底的にギャンブルする手段を絶ちましょう。

ギャンブルができない環境を作るための例
  • 財布にお札、銀行カード、クレカなどのキャッシングカードを入れない
  • 小銭入れしか持たず、日常生活は ICOCA や Suica などの電子マネーで過ごす
  • 会社員の方でフレキシブル制の方は、夜遅くに帰宅するよう調整し、自由業の方は、できるだけ帰宅時間が遅い仕事を探す
  • 休日にギャンブルしないように、銀行カードやクレカを実家に預ける
  • 公営ギャンブルのネット会員を退会する

もっとも心が流されやすい瞬間は、仕事終わりなど「心身ともに疲弊している」ときです。

手軽に楽しめる娯楽に流されてしまうので、仕事終わりにギャンブルできないよう調整することが理想です。

また、休日は時間を持て余して、ついギャンブルをしてしまうケースが多いと思います。

実家などの信頼できる場所に、現金化する手段を預けましょう。

他人に相談し、「克服しようとしている自分」を人前に晒す

まず、依存に負けそうになったときは、ギャンブルした後のことを想像してみましょう。

これまでの取り組みが水泡に帰し、「依存を克服すると決意した自分」を裏切ることになります。すべてが終わった後、罪悪感に苛まれ、自己嫌悪に陥ることでしょう。

ここでさらに「他人」が介入していれば、その罪悪感・自己嫌悪がより強くなります。

例えば、あなたは信頼できる知人に、以下のように相談します。

「自分はギャンブル依存症に悩んでいて、今それを克服しようとしている。今後、二度とギャンブルはしないとあなたの前でも誓う」

信頼できる他人に、そう宣言することで、私たちは依存に負けた時、「他人をも裏切った」ことになります。

今度、その人と会った時、どんな顔をして会えば良いでしょうか。

「まだやめている」と嘘をつくにしろ、「ギャンブルしてしまった」と正直に話して相手を呆れさせるにしろ、大きな罪悪感が伴います。

このように、「他人の監視」を利用して、依存に負けそうになる自分を自制してみる方法もあります。

医療機関を頼る

「他人に相談する」ことの延長線ですね。

医療機関ではギャンブル依存症について診断してもらえます。

信頼できる医師を見つけられれば、依存を克服する最短の近道となりますね。

ギャンブル依存症治療の体験談は、ネット上にたくさんあるので、読んでみてください。

最初は来院しにくいと感じるかもしれませんが、自分一人で依存を克服することに限界を感じた場合のステップとして、「信頼できる医師」を見つけることを考えましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

ギャンブルに限らず、依存を克服するというのは非常に難しい挑戦ですよね。

人間の心はもろく、ちょっとしたことですぐ流されてしまいます。

理想的には、「依存症ビジネス」を是正するために、色々な制約を課して「過度に依存させない」ための仕組みが必要だと思います。

しかし、そもそも公営のギャンブルが存在しており、さらに今後カジノが誕生していく世の中です。

国は「依存症対策」に注力すると宣言していますが、ある種のポーズだと捉えて、「世間は私たちをあの手この手で依存させる」と危機感を持つくらいの方が、安全かもしれませんね。

以上、参考になれば幸いです。

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